2040年問題の具体的な問題点

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具体的な問題点

どのような状況に陥ってしまうのか

少子高齢化による医療・介護危機

2040年には首都圏の急速な高齢化とそれに伴う医療・介護危機が訪れます。日本の人口は第1次ベビーブームに生まれた団塊の世代が多くを占めています。その数は806万人と突出しており、地方に住む団塊の世代が仕事を求めて首都圏に移住し、東京都を中心に人口が増えていったという背景があります。その団塊の世代が85歳以上になることで医療・介護サービスのニーズも高まります。
一方で少子化の影響により若い層の労働者が不足しています。医療・介護スタッフの人材不足は特に深刻で、すでに東京圏では圏外の介護施設への依存度が高くなっている状況です。需要と供給のギャップはすでに大きくなっていますが、2040年にはさらに拡大することが懸念されています。

労働者が減り経済が落ち込む

若い層の労働者不足による社会への影響も大きな問題です。生涯年齢人口である15歳~65歳の人口は1年間に100万人のペースで減少しており、労働力の中心も徐々に高齢化している状況です。労働力が減少することで各業種に大きなダメージを与えます。特に影響が大きいのは介護・看護・保育・建設などの生活に密着した職種です。
医療・介護などの生活を支える産業が十分にサービスを提供できないことは、高齢者が増え続ける日本においては危機的な状況です。これまで企業が倒産する主な理由は売り上げ不振でしたが、最近では売り上げが好調でも人材が不足していることで後継者が見つからずやむを得ず倒産するケースも増えています。この状況が続くと2040年にはさらに労働者不足が深刻化し、経済全体が落ち込み生活に必要なサービスが国民に行き届かない可能性があります。
また、社会保障制度の崩壊も危惧されています。健康保険や医療保険、生活保護などの社会保障制度は利用度の低い若い層からの税金や保険料で成り立っています。しかし、若い層が減少し税金や保健料が減収となることで収支のバランスが崩れ、社会保障制度が成立しなくなってしまいます。

街の機能が停止する

都市の空洞化とインフラの老朽化という問題もあります。これまでは地方から首都圏に人口が流入したことで多くの住宅やマンションが建設され、賑わいのある街が作られていました。しかし現在は多くの住宅が建設から50年以上経過しており、バリアフリー化されていない住居もまだまだ多く、高齢者には住みにくい環境となっています。そういった理由から人々が首都圏外に転出し、空いた部屋に新たな入居者がいない状況が続くと、空き家の数が増えていきます。
また、バブル期までに建設された公共施設やインフラも老朽化が進んでいるものの、人口減少による税収の減少で建て替えが進んでいない状況です。とはいえ水道などのライフラインの維持は必須なため、設備費用が利用者の料金に上乗せされ、生活が圧迫されていくことが予想されます。公共交通機関の利用者も減るため、バスや鉄道の路線も次々に停止する可能性があります。

介護現場は変わってきている?

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