2040年問題の影響で高齢者への虐待が増えるかもしれない

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虐待問題も注視すべき

高齢者に対する虐待

在宅介護における虐待問題

高齢者を取り巻く問題として注視すべきなのが虐待問題です。2015年に各市区町村が判断した高齢者虐待の事例は1,500件以上もあります。前年よりも237件増えており、増減率は微増傾向にあります。虐待者と被虐待者の関係は、息子が全体の40%以上を占めており、それ以外だと夫や娘が多いようです。同居・別居の状況を見ると、虐待者とのみ、あるいは虐待者および他家族と同居しているケースが86.8%となっています。

虐待の種類

まずは「身体的虐待」です。高齢者に対する暴力行為や威嚇などがこれに該当します。緊急時のやむを得ないケースを除いた身体拘束や、本人にとって不利益となる強制的な行為・言動の制限なども含まれます。具体的には「殴る・蹴るなどの暴行」「本人が拒否している状態でのベッド・椅子への拘束」などが挙げられます。身体的虐待は、高齢者に対する虐待の中で最も高い割合を占めます。在宅介護においては該当件数全体の66.6%として報告されています。
「介護放棄」も在宅介護における虐待の中で多くの割合を占めます。日常生活を送る上で必要な介護を放棄し、高齢者の生活環境を悪化させ心身の状態に支障をきたすような行為を指します。具体例としては「入浴や排泄の世話をしない」「医療・介護に必要な用具を使用しない」などが挙げられます。
介護施設と比べて在宅介護における発生率が極端に高いのが「心理的虐待」です。これは暴言・威圧・脅迫・侮辱・無視などの威嚇的な態度や言葉の暴力によって高齢者の尊厳を傷つけ、自立心や意欲を低下させる行為です。
該当件数は少ないですが「性的虐待」が行われるケースもあります。わいせつ行為や性行為の強要、性的羞恥心を喚起する行為の強要などがこれに該当します。具体例としては「キス・愛撫・セックスの強要」「着衣をさせず裸にさせる」などが挙げられます。
最後に挙げられるのが「経済的虐待」です。本人の合意なく財産や金銭を取り上げる、それらの権利を不正に使用するなどの行為です。また、日常的に必要な金銭を渡さない・使わせないといった行為も該当します。具体例としては「年金・預貯金を取り上げる」「預貯金やカードを着服・窃盗する」などが挙げられます。

虐待が発生する理由

在宅介護において虐待が発生する主な理由は「介護に対する疲れやストレス」です。それ以外には「虐待者の障害・疾病」「被虐待者の認知症の症状」「家庭における経済的問題」「虐待者と被虐待者の虐待が発生するまでの人間関係」などが挙げられます。

介護現場は変わってきている?

介護人材の確保が急務 介護人材の確保が急務

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介護人材を確保するためには労働環境を整備する必要があります。ITの導入などによって現場の負担軽減や業務効率化を図ることが人材定着につながります。また、業界全体のイメージアップも求められます。

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